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病気の解説「脳卒中」での検索結果

756件の検索結果

発作性心房細動も慢性心房細動と同じくらい脳梗塞のリスクがあると聞きましたが、本当ですか- 日本心臓財団 -

□心房細動は10年や20年といった長い期間でみると、最初は発作性に出現し、徐々に発作頻度が増え、持続時間が長くなり、やがて慢性心房細動になっていきます。□発作性心房細動は時にしか心房細動となっていませんので、常に心房細動である慢性心房細動の方が脳梗塞を発症しやすいように思えます。しかし、これまでの心房細動における脳梗塞発症の危険因子を検討した小規模の研究の多くは、発作性、慢性といった心房細動のタイプが独立した危険因子であることを示したものは多くはありませんでした。□非弁膜症性心房細動患者を対象にアスピリンとクロピドグレルの2剤の抗血小板療法の併用とワルファリンによる脳卒中予防効果を比較したACTIVEW試験は2剤の抗血小板療法に比してワルファリンの優位性を示しました。そのACTIVEWにおいて「慢性心房細動患者に対する発作性心房細動患者の脳卒中リスク」と「発作性心房細動に対するワルファリンとアスピリン+クロピドグレルの有効性と安全性」がサブ解析にて検討されました。□エンドポイントは全脳卒中+非中枢神経系(CNS)全身塞栓症。心電図で心房細動と診断され、①75歳以上、②高血圧の治療中、③脳卒中/一過性脳虚血発作/非CNS全身性塞栓症の既往、④左心室機能障害(左室駆出率<45%)、⑤末梢動脈疾患、⑥55-74歳で①-⑤を有さない場合は薬物治療を要する糖尿病または冠動脈疾患の既往の1つ以上に該当する患者、つまりCHA2DS2-VAScスコア1点以上を有する群が対象とされています。□結果として発作性心房細動群は慢性心房細動群に比し、若く、心房細動歴が短く、高血圧が多く、弁膜症、心不全、糖尿病群が少なく、CHADS2スコアが低い傾向がありました。心房細動の自然歴を考えると発作性で高血圧が多いということ以外は当然の結果のように思えます。□エンドポイントは発作性心房細動群で1202例中29例(2.0/100例・年)、慢性心房細動群で5495例中155例(2.2/100例・年)に発生し、発作性心房細動と慢性心房細動とで差はみられませんでした(p=0.755)。(図)図 心房細動タイプ別脳卒中または非CNS性全身性塞栓症の発生率(文献1より)□治療法別にみると慢性心房細動ではアスピリン+クロピドグレル投与者は経口抗凝固薬投与者に比しエンドポイントの発生が多く(3.0/100例・年vs1.5/100例・年)、発作性心房細動でも有意差はみられないものの同様の傾向が認められました(2.4/100例・年vs1.5/100例・年)。また全出血はアスピリン+クロピドグレル投与患者の方が経口抗凝固薬投与患者よりも発作性心房細動(15.3/100例・年vs12.0/100例・年)、慢性心房細動(15.0/100例・年vs12.9/100例・年)ともに多いことが分かりました。□エンドポイントからみると発作性心房細動と慢性心房細動が同じくらい脳梗塞のリスクがあるように思えます。しかし、発作性心房細動のCHADS2スコアが慢性心房細動に比し低い傾向にあるにも関わらず、脳梗塞リスクが同等というのは矛盾しているように感じます。□その理由としてACTIVEWでは経口抗凝固療法が発作性心房細動では64.8%の患者さんに投与されていたのに対し、慢性心房細動では79.5%の患者さんに有意に多く投与されていました。そのため、発作性心房細動と慢性心房細動の脳梗塞発症率にCHADS2スコアの影響と抗凝固療法の予防効果が相殺され同等のリスクとなったのかもしれません。□ただし、発作性心房細動

27.危険因子- 日本生活習慣病予防協会 -

ホーム おいしく食べる 楽しくはかる 生活習慣病講座 おいしく食べる 楽しくはかる 生活習慣病講座 27.危険因子 「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」、いわゆる脳卒中は、危険因子を抱えている人ほど起こりやすいといえます。発症との関係を、日本脳卒中協会の山口武典会長に聞きました。何が危険因子ですか 「第一に高血圧です。重症の状態が続くと脳出血を起こし、軽症だと細い動脈が詰まるラクナ梗塞や比較的大きな動脈が詰まるアテローム血栓性梗塞になります。また、くも膜下出血とも関係があり、先天的に脳動脈にあるこぶ(動脈瘤)が、高血圧で大きくなって破れ、脳の表面(くも膜下腔)に出血するのです」ほかにもありますか 「糖尿病です。健康な人の3倍以上も脳梗塞になりやすく、糖尿病予備軍でも同じだと考えられています。高血糖が続くと、動脈壁内に糖がしみ込んで動脈硬化が促進され、動脈が細くなるうえ、血小板の凝集作用が高まって血栓ができて詰まるのです。そして、高脂血症。中でも悪玉 LDL コレステロール値の高い人は、全身の動脈硬化を起こしやすく、アテローム血栓性梗塞を発症しやすくなります。心臓病もそうです。特に心房細動という不整脈があると、心臓内で血栓ができやすく、それがはがれて脳で詰まり、心原性脳塞栓症になります。また、高血圧、糖尿病、高脂血症は心房細動の原因となることがあります」生活面で気を付けなければならないことを教えてください 「高血圧、糖尿病、高脂血症はどれも生活習慣病なので、悪い生活習慣が影響を及ぼします。例えば、喫煙は血圧を上げ、ニコチンが動脈硬化を進めます。また一酸化炭素を吸い込むことで赤血球が増えて、血液がドロドロになります。大量飲酒は高血圧を起こしますから、1日に日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯までにしてください。また肥満も高血圧、糖尿病の原因なので要注意です」では、脳卒中になりやすい人は? 「60歳以上の男性で、家族に脳卒中の病歴があるという人が多いようです。また、危険因子が多いほど心臓血管病を発症しやすいこともわかっています。例えば、高血圧が1つ増えただけで約5倍、それに高脂血症が加わると21倍、さらに糖尿病、喫煙、心臓肥大で約70倍にもなるというデータがあります。危険因子を1つでも減らすことが大切

降圧効果に関するALLHAT試験とはどういうものですか- 日本心臓財団 -

□高血圧治療において、降圧作用プラスアルファの効果を有する薬剤は、患者によりよい予後が期待できそうです。新しい治療薬であるACE阻害薬やCa拮抗薬の効果を検証するために、ALLHAT試験(JAMA,2002)が行われました。これは冠動脈疾患リスクのある高血圧患者において、Ca拮抗薬やACE阻害薬のような新しい降圧薬による治療が、旧来のサイアザイド系利尿薬による治療と比較して冠動脈心疾患や心血管疾患を抑制するかどうかを検討した試験です。□一次エンドポイントは致死性冠動脈心疾患または非致死性心筋梗塞、二次エンドポイントは全死亡、脳卒中、複合冠動脈疾患、複合心血管疾患。□この試験は33,357例という世界最大規模で1994年から5年間かけて行われました。対象は55歳以上で、一つ以上の冠動脈疾患危険因子を有するステージ1または2の高血圧症患者で、サイアザイド系利尿薬クロルタリドン群、Ca拮抗薬アムロジピン群、ACE阻害薬リシノプリル群に割り付けられました。□結果は、一次エンドポイントの冠動脈疾患の発生には差が認められませんでした。アムロジピンとクロルタリドンの比較では、脳卒中においてアムロジピン群の相対リスクは0.93と低い傾向が示され、心不全の発症率はアムロジピン群の方が有意に高くなりました(p<0.001)。リシノプリルとクロルタリドンとの比較では、脳卒中(p=0.02)と複合心血管疾患(p<0.001)、心不全(p<0.001)、狭心症(p=0.01)、血行再建術(p=0.05)でリシノプリル群が有意に高くなりました。□この試験では降圧効果の差も指摘され、リシノプリル群での収縮期血圧が2mmHg高く、このことが結果に反映した可能性もあり、心血管疾患予防効果の点では3群間に大差は無いかもしれません。薬価の面で利尿薬が経済性に優れているものの、副作用も考慮する必要があると考えられます。しかし、旧来の利尿薬治療の有用性を再認識させるとともに、当時のACE阻害薬のような新しい降圧薬への過度の高評価に一石を投げかける研究でありました。 (2014年10月公開)ALLHAT試験は「降圧治療にサイアザイド系利尿薬も決して悪くない」ことを教えている。

高血圧の治療で「下げすぎるとよくない」ということを聞いたことがありますが、正しいですか- 日本心臓財団 -

□高血圧は将来の心血管疾患発症のリスクとなります。血圧が、至適血圧(収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満)を超えて高くなればなるほど疾患発症も死亡も多くなります。□これに対して、収縮期血圧を10mmHgまたは拡張期血圧5mmHgを低下させると心血管疾患リスクは脳卒中で約40%、冠動脈疾患で約20%減少することが過去の臨床試験のメタ解析により示されました。BPLTTC(BloodPressureLoweringTreatmentTrialists’Collaboration)という非序に信頼性の高いメタ解析も同様の結果を確認しています。□さらに、血圧が高いほど、高齢であるほど、血圧以外の因子の合併により心血管疾患発症リスクが高いほど、降圧薬治療によりリスクが低下します。 これらの結果から、血圧に関しては“thelower、thebetter”という考えが信じられてきました。□しかし、高リスクの2型糖尿病患者における大血管障害の発症リスクの抑制を調べたACCORDBP試験によると、厳格な降圧(119mmHg対134mmHg)は心血管イベントを減少しませんでした。 2型糖尿病の降圧程度と心血管死との関係を調べたメタ解析でも、135mmHg未満の降圧は心血管死を減少する傾向を示しましたが、130mmHg未満の降圧は有意ではないものの心血管死を増加する傾向にありました。□これらの結果から、各国の高血圧治療ガイドラインは糖尿病の降圧目標としてこれまでの130/80mmHgではなく、最近では140/90mmHgを採用しました。 “130/80mmHg未満まで下げた方が良いというエビデンスがない”という意味です。□しかし、脳卒中においては明らかに130mmHg未満の降圧が脳卒中を減少させました(BangaloreSetal.Circulation2011;123:2799)。日本人では脳血管疾患が相対的に重要であることから、JSH2014では日本人の糖尿病合併高血圧の降圧目標値を130/80mmHg未満に据え置きました。□他方、主として冠動脈疾患患者を対象にしたINVEST試験の後付け解析をもとに、冠動脈疾患を有する高血圧患者においてあるレベル以下への降圧、とりわけ拡張期圧の低下により予後が悪化する可能性(J型現象)が示唆されました。□具体的には、拡張期圧70mmHg未満で心血管死亡率が増加することが示されています。さらに、冠血行再建術は低拡張期圧による心イベント発症を低下することが報告されました。 メカニズムから推定される、“過降圧が有害であるという懸念”です。□しかし、冠動脈疾患患者を対象にした多くのプラセボ対象比較試験では、収縮期血圧が140mmHg台より130mmHg台、130mmHg台より120mmHg台へ降圧すると冠動脈疾患発症リスクが低下することが示されています。□現在のところ、過降圧によるリスク上昇にははっきりしたエビデンスはありません。そこで、JSH2014では動脈硬化性冠動脈疾患、末梢動脈閉塞疾患、頸動脈狭窄がある患者においては、降圧に伴う臓器灌流圧低下に対する十分な配慮が必要であると注意を喚起しました。 □“血圧の下げすぎに注意し降圧目標を高めに設定する”という考えは正しくありません。最低でもガイドラインの降圧目標まで血圧を下げると有益であるというエビデンスはありますので、個々の患者のリスクベネフィットを考えてしっかりとした降圧治療を行うべきです。 (2014年10月公開)下げすぎに注意は必要だが、降圧目標

CKD / 慢性腎臓病(CKD / まんせいじんぞうびょう)- 厚生労働省 (e-ヘルスネット) -

/ Chronic Kidney Disease /腎機能が慢性的に低下したり、尿たんぱくが継続して出る状態。腎臓の働きが通常より60%以下に低下したり、尿たんぱくが出る状態が慢性的に続くと慢性腎臓病(CKD)と判断されます。CKDは「Chronic Kidney Disease」の頭文字で、2002年に米国腎臓財団が定義しました。腎臓は一日に150~200リットルの血液をろ過して、尿を作り老廃物を排泄する大切な役割をもつ臓器です。他にもミネラルなどのバランスを調整したり、血液を作り出すホルモンを分泌したりと多くの働きをします。腎臓機能を示す指標としてはGFR(Glomerular Filtration Rate)がありますが、これは腎臓の中にある毛細血管の集合体である「糸球体」が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示す値です。GFRが1分間に60ml未満の状態または尿たんぱくが三ヶ月以上続くとCKDと診断されます。CKDが進行すると末期腎不全となって人工透析や腎移植が必要になってくるばかりか、動脈硬化の危険因子としても重要で脳卒中や心筋梗塞を発症させることもあります。

高血圧(こうけつあつ)- 厚生労働省 (e-ヘルスネット) -

収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上になる病気。 日本人のうち約4000万人が該当。血圧が高くなる病気です。上の血圧は心臓が収縮したときの血圧で収縮期血圧、下の血圧は拡張したときの血圧で拡張期血圧と呼ばれます。日本高血圧学会では、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧としています。高血圧は脳卒中や心臓病のリスクを高めます。血圧はたえず変動しているため、実際には病院などではかるたびに基準値を超えていると高血圧と診断されますが、国民健康・栄養調査でこの値を超えている人は3970万人にのぼっています。白衣を着た医師の前で血圧が高くなるケース(白衣高血圧)がある一方、病院ではかる血圧が正常でも早朝などに血圧が高くなるケース(仮面高血圧)が知られていますので、家庭でも血圧をはかり、きちんと管理することがすすめられます。家庭血圧の基準値は異なっており、収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上で高血圧が疑われます。

未破裂動脈瘤(みはれつどうみゃくりゅう)- 厚生労働省 (e-ヘルスネット) -

弱った動脈壁にできる風船状のコブ。破裂する前の状態で痛みなど自覚症状がないことが多い。動脈の一部が風船のようなこぶ状になったものを動脈瘤といいます。主に大動脈や脳動脈におき、弱くなっている動脈壁が血流の圧力で膨らんでくるもので、脳動脈で破裂すると脳卒中の一種である「くも膜下出血」になります。未破裂動脈瘤とは、動脈瘤にはなっているもののまだ破裂する前の状態のことです。未破裂動脈瘤があったとしても痛みなどの自覚症状はありません。脳動脈の動脈瘤が破裂する確率は年1%未満と必ずしも高くないのですが、突然くも膜下出血などを発症して命を落とす危険があるので、予防としての手術を行うことがあります。(一般に3mm以下の動脈瘤は破裂する可能性は少ないといわれています。)治療方法は「開頭クリッピング術」と「血管内治療」が標準的です。開頭クリッピング術は、頭蓋骨の一部を開いて動脈瘤の根元の部分をクリップで挟み、動脈瘤への血液を遮断する方法です。血管内治療は、足の付け根などから入れたカテーテルという細い管を動脈瘤内まで送り、金属コイルを動脈瘤の中に詰め込み血液が入らないようにする方法です。

脳出血- 日本生活習慣病予防協会 -

ホーム 生活習慣病 生活習慣病 脳出血 どんな病気?  脳の発作、いわゆる「脳卒中」は、血管が詰まるタイプの「脳梗塞」と、血管が破けて出血するタイプの「脳出血(以前は脳溢血と呼んでいました)」の二つに大別できます。かつて日本では脳卒中と言えば脳出血を指すほど脳出血が多数を占めていましたが、徐々に減ってきて今では脳梗塞のほうが多くなっています。  脳出血が減ったのは、高血圧の治療が普及したおかげです。高血圧は血管の壁に強い圧力がかかっている状態なので、当然、血管が破けやすくなるのです。  脳出血が起きると、急に頭痛や吐き気・嘔吐、左右片側の手足の麻痺などが現れます。麻痺は次第に進行し、それとともに意識が低下して昏睡に至ることもあります。  出血そのものは時間がたてば自然に止まるのですが、あふれた血液によって周囲の脳細胞が圧迫さたり、脳の内部の圧力(脳圧)が高くなるために出血箇所から離れた部分の脳にも血流低下などの影響が出ることがあります。こうした脳細胞のダメージにより、出血が止まった後にも麻痺などの後遺症が残ることが多く、最悪の場合には発作から回復せずに死亡に至ります。  なお、脳の内部の出血(脳内出血)のほかに、脳の外側を覆っているクモ膜と脳の間の隙間に出血が起きる「クモ膜下出血」も、脳卒中のタイプの一つです。 数字で見る脳出血 脳血管疾患の患者数は、117万9,000人詳しく見る ▶ 脳血管疾患の年間医療費は、1兆7,730億

心電図で左室肥大と診断され、心エコーを行ったところ、肥大型心筋症と診断された患者さんがいます。肥大型心筋症は予後不良ですか- 日本心臓財団 -

□1982年(昭和57年)の特発性心筋症調査研究班の報告では、肥大型心筋症(Hypertrophiccardiomyopathy;HCM)の5年生存率および10年生存率は、それぞれ91.5%と81.8%で約20%の患者さんが診断後10年以内に死亡することになります(河合忠一,他.特発性心筋症の予後調査.厚生省特定疾患心筋症調査研究班 昭和57年度研究報告集.1983:63)。しかし、わが国に多い心尖部HCMは、時に長い経過で左室収縮能障害を来たし心不全に陥る症例もみられますが、概ね予後良好です(ErikssonMJ,etal.JAmCollCardiol2002;39:638)。このため、HCMは予後不良と一概には言えません。□HCMにおける疾患関連死の原因としては突然死、心不全死、脳卒中(主に心房細動の塞栓症)が主なものです。2002年にわが国で行われた大規模な疫学調査ではHCMの年間死亡率は2.8%であり、死因としては不整脈が31.9%、心不全が21.3%でした(MatsumoriA,etal.CircJ2002;66:323)。欧米のHCMにおける疾患関連死亡86例の解析では、突然死が44例(51%)、心不全死が31例(36%)、脳卒中死が11例(13%)と報告されています。突然死は若年者を中心にみられその平均年齢は45歳であり、心不全死は中年以降に多く平均56歳、脳卒中死は平均76歳と高齢者に多くみられています(MaronBJ,etal.Circulation2000;102:858)。□HCMと診断された患者さんの予後を推定するうえで、突然死の危険因子があるかを評価することが重要です(表)。心室性不整脈、失神、突然死の家族歴、著しい左室肥大などが主要な危険因子であり、拡張相肥大型心筋症、左室流出路狭窄、広範な線維化なども関与します。修飾可能な因子として激しい運動や冠動脈疾患があげられ、これらの危険因子の数と突然死のリスクは比例すると報告されています(ElliotPM,etal.Lancet2001;357:420)。逆に,これらの危険因子のいずれをも有しない症例では突然死にいたる危険はほとんどないと報告されています(ElliotPM,etal.JAmCollCardiol2000;36:2212)。心不全や脳卒中の発症には、拡張相肥大型心筋症への移行や心房細動の合併が深く関与していると言われています(KuboT,etal.GeriatrGerontolInt2010;10:9)。表 突然死に関する危険因子循環器病の診断と治療に関するガイドライン.肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_doi_h.pdf(2014年10月閲覧)□HCMに家族性があることは古くから知られており、近年は多数の遺伝子変異が報告されています。HCMにおいては同一の変異を有する家系内や、同一の変異を有する異なる家系ごとに、変異の浸透率、発症年齢、重症度などの臨床型は多様です。さらに環境因子、性別、遺伝的修飾因子などが、臨床型の多様性に関与しています。このため予後良好とされた変異が病因の家系において突然死が多くみられることや、予後不良とされた変異を病因とする家系において疾患関連死が少ないことがあることなどの報告もあり、遺伝子変異から生命予後を推測することには現在のところ限界があると思われます(LandstromAP,etal.Circulation2010

頸部頸動脈狭窄症- 日本脳神経外科学会 -

します。 図:頸動脈分岐部の内頸動脈起始部で血管が高度に狭窄しています。 2)3D-CTA 約100ccの造影剤を上腕の静脈から短時間に注入して高速らせんCTで頸動脈を撮影します。周囲の構造物や頸椎の情報など解剖学的位置関係がリアルに観察できます。 また、MIP法という平面への投射法により血管造影と同等の狭窄度の評価も可能です。 図:MIP法。血管造影とほぼ同等の狭窄率を描出可能。 治療選択 1)代表的な症候性頸部頸動脈狭窄症に対するCEAのエビデンス 北米50施設で1988年1月から開始されたNorth American Symptomatic Carotid Endarterectomy Trial (NASCET)が最も代表的。これは、過去120日以内にTIAまたは軽度の脳梗塞を起こし、患側頸部頸動脈狭窄が30〜99%の患者さんを対象に最良の内科治療群と最良の内科治療+CEA群に無作為に分け、2群間での脳卒中の発生頻度を約2年間にわたり比較検討したものであります。ただ、CEAを行う外科医にはその手術リスクが6%以下でなければならないという条件が科せられました。結果として、1991年に70%以上の高度狭窄群では、脳卒中の発生率は内科群で26%であるのに対しCEA群では9%であり、合併症率の低い外科医がCEAを行う限り患側の脳卒中発生率を有意に減少させることが証明されました。さらに1998年には50〜69%以下の中等度狭窄例においても有意差は小さいものCEA群が内科治療群より脳卒中の発症率を低下させることも証明されました。その後も長期成績に関して報告があり、CEA群は長期にわたって脳梗塞の予防効果があることが証明されてきました。 European Carotid Surgery Trial (ECST):欧州14か国の80センターで行われた大規模臨床試験。対象者は過去6ヶ月以内のTIAまたは軽度の脳梗塞を起こし、患側の頸動脈狭窄を有している患者さんでした。これもNASCET同様に、内科群とCEA群に分けその後の脳卒中の発症率の比較検討を行いました。まず、発症後約3年間においては70%以上の高度狭窄例においてCEA群は内科群に比べ有意に脳卒中の発症率を減少させていることがわかりました。その後の調査でも、80%以上の高度狭窄を有する患者さんには長期にわたりCEA群の方が脳卒中の発症を抑えることができることを証明しました。 2)代表的な無症候性頸部頸動脈狭窄症に対するCEAのエビデンス Asymptomatic Carotid Atherosclerosis Study (ACAS);北米39施設において開始された大規模臨床試験です。対象は無症候性頸動脈狭窄症の方で、狭窄度は60%以上となっています。観察期間は約5年間。結果は、内科群での脳卒中発生率は11.0%であったのに対してCEA群では5.1%と無症候性病変に対してもCEAの有用性が証明されました。ただし、これを行う外科医の手術リスクは3%以下であることが条件

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