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臨床研究(試験)の結果の公表について

臨床研究(試験)の中でも無作為化比較試験(RCT)は、新しい治療法などの効果を既存の治療法などと比較・評価する場合に、最も質の高い科学的エビデンスを提供してくれる唯一の研究デザインです。しかし、RCTで新しい治療法が既存のものと比較して、有意に優れていない、あるいは安全性に問題がある結果(ネガティブな結果)が得られた場合には、効果が有意に優れ、安全性に大きな問題がなかった場合に(ポジティブな結果)比べ、研究者は結果を論文として公表する意識が薄れ、たとえ、投稿したとしても雑誌の編集委員会がネガティブな結果の掲載価値が小さいと判断されてしまい公表されにくい傾向がありました。これを「公表バイアス(publication bias)」といいます。

そのため、最近のEBM(根拠に基づく医療)の流れの中で、ある治療効果に関する、公表された文献データベースを利用したシステマティック・レビューならびにメタ・アナリシス(複数の研究結果を系統的にとりまとめて一つの結論を導くこと)を実施しても、ネガティブな結果は公表されているものが少ないため、明らかにポジティブの方向に、しかし未知の量のバイアス(偏り、bias)がかかるという公表バイアスのため正しい治療効果の推定ができないという重大な問題がありました。

この問題を解決するためには、ヒトを対象とした全ての臨床研究(試験)を登録制にし、その結果をネガティブ・ポジティブの如何に係わらず公表することを義務づけることが必要です。

このような流れの中、2004年頃からWHOを中心とした臨床研究(試験)の登録制の議論が本格的に開始され、ヒトを対象とした臨床研究(試験)を登録するように促し、その結果をネガティブ・ポジティブの如何に係わらず公表し、公表バイアスを避けようと努力されています。この意味でも臨床研究(試験)の登録が重要なのです。